· 

たった1度の箱庭療法体験で10年間悩んでいた不調が治った

 

 とある女性が箱庭療法体験にいらしてくださった。その方は10年の間、心身の不調に悩んでいるという話をされて、そして箱庭を制作された。その女性が2回目にいらっしゃったときに、前回の箱庭療法体験で、心身の不調が治ってしまった、と語った。

 

 箱庭療法は、西洋薬のように即効性のあるものではなく、漢方薬のようにじわじわと心身に変化をもたらすものであると思っていたので、この話を聞いて驚きました。

 

 箱庭にはいくつかの人物や動物のフィギュアが置かれることがある。その人物や動物などがそれぞれ、作った人の外的状況を表しているとも考えられるし、同時に、作った人の内的状況を表しているとも考えられる。

 

 例えば、女の子、壮年男性、おじいさん、というフィギュアが置かれたとき、それはその人の娘、職場の同僚、近所のおじいさん、を表しているのかもしれないし、同時に、その人のこころの子どもな部分、男性的な部分、分別のある部分、を表しているのかもしれません。それらは同時にすべてその人を表してもいるのです。

 

 箱庭で置かれたフィギュアを指して、“これが私です”と仰る方もいるのですが、それはそうであり、そして同時に、その他のフィギュアもその人を表しているのだと思われます。

 

 箱庭療法体験にいらっしゃった女性は、感覚的に、すべてのフィギュアが自分である、とわかったのだそうです。

 

 それはきっと、その人の中でそれを受け入れられるタイミングであったからこそ、そうなったのだと思います。箱庭を作るべきタイミングにその方はいらっしゃったのだと思います。

 

 たった1回の箱庭制作体験で、劇的な効果をもたらすこともあるなんて。箱庭とはほんとうに様々な可能性に満ちているものであるのだと感じました。