仕事にストレスはつきもの。
職場での人間関係、果たさなければいけない役目の重圧感…。
そういったストレスに負けないための方法が、心理学では研究されています。
みなさんが仕事のストレスに負けずに活躍できる方法を、心理学の研究から得られた知
見をもとに、わかりやすくご紹介したいと思います。
■ ストレスの元となる出来事があっても、ストレス反応がおきるとは限らない?
ストレスの元となる出来事があると、胃が痛くなる、お腹がくだる、うつっぽくなる、などといった、ストレス反応が起こります。
しかし、ストレスの元となる出来事があっても、それほどストレス反応が出ないですむことがあるのです。
出来事の受け止め方や、対処方法、ソーシャルサポートを有効に用いることができれば、ストレスに負けないですむんです。
それでは、その有効な出来事の受け止め方や、対処方法、ソーシャルサポートとはどの
ようなものなのでしょう?
これから具体的に紹介していきたいと思います。
■ストレス反応が出にくい出来事の受け止め方
● 物事を楽観的にとらえる
物事を楽観的にとらえる人は、ストレス反応が出にくいといわれています。
楽観的な捉え方として3つのパターンをあげてみます。
①その出来事が一時的なものだと捉える
例)楽観的な捉え方
「たまたま調子が悪かったのだ。そのうちよくなるだろう。」
悲観的な捉え方
「自分はいつもこうだ。これからもずっとこうなんだろう。」
②出来事を限定的にとらえる
例)楽観的な捉え方
「自分はあと○○の知識さえ身に着けたら、上手くやれる」
悲観的な捉え方
「自分はそもそもこの仕事に向いていないんだ。」
③自分のせいにしないで、他人や状況といった自分以外の要因のせいにする
例)楽観的な捉え方
「自分にとって不利な状況だったのだから仕方がない。」
悲観的な捉え方
「自分に能力が無いんだ。」
●仕事に意味を感じる
仕事に意味を感じられなければ、ストレスに耐えることは難しいですが、仕事に意味を感じることで、ストレス耐性は高まります。
●物事をいろいろな角度から多面的にみる
ものごとを単純に受け止める人は、気分の浮き沈みが激しく、ストレス耐性が低いといわれております。
ものごとをいろいろな角度から多面的に受け止められる人は、気分の変動が少なく、物事に冷静に反応でき、ストレス耐性が高いといわれております。
例)上司から怒られたときに、
出来事を単純に受け止める人
「あんな言い方しなくたっていいじゃないか!」とすぐに感情になる。
出来事を多面的に受け止める人
「上司の立場としてはそう言わなくてはならないのだろう」「改善したらきっと見直してくれるはずだ」「自分のことを期待してくれているからそう言うのだろう」などと、いろいろな角度から考える。これがこころのクッションとなります。
●笑いとユーモアをうまくとりいれる
自分が出来事に巻き込まれ過ぎて気持ちの余裕をなくしていると感じるときは、ユーモアを意識するのが効果的です。ユーモアによって自分や自分の置かれた状況を客観視できるようになり、どうにもならない切羽詰まった感じに思えた状況も、そこまで悲観するほどのものではないように思えてきます。
落語を聞いた後では、聞く前に比べてストレスホルモンの値が下がっているという研究結果があります。
ユーモアが本人の気持ちを和らげる効果があるだけでなく、緊張関係にあるときに一方がユーモアを示すと、相手の気持ちも和み、友好的な雰囲気になりやすいという効果も期待できます。
■ソーシャルサポートについて
次に、ストレスを減らすのに有効である、ソーシャルサポートについての紹介をします。
頼れる人がいる、話を聴いてくれる人がいるというだけで、ストレス耐性が高まるといわれています。
・ ストレスになっている問題を解決するための方法をアドバイスしたり、必要な情報を提供してくれる人は、もちろんサポートになります。
・ 直接の問題解決には役立てなくても、話を聴いてくれたり、共感したり、励ましたりしてくれるだけの人でも、サポートとなります。
言いたいことを言えなかったり、苦しい胸の内をだれにも話せなかったりすると、ストレスが溜まります。ですので、自己開示できる人間関係を持つことは有効です。
・ 胸の内にため込んだ思いを吐き出すと気分がすっきりする効果があります。
・ こころの中に渦巻いている自分の思いを率直に語ることで、自分が何にむしゃくしゃしているのか、何が不満なのか、何を苦痛に思っているのか、何を求めているのかが徐々にみえてきたりするという、自己明確化効果があります。
自己開示できる相手がいればよいのですが、内容によっては、あまり人には言いにくこともあります。そのようなときは、日記のような個人的なノートに自分の思いを書きだすことでも、すっきりしたり自己明確化の効果があり、ストレス緩和となります。
箱庭療法・心理カウンセリング東京で行っている箱庭療法でも、自分の内面が箱庭で表現されるので、自己明確化の効果があります。
また、話を聴いてくれたり共感してくれる相手がいなかったり、自己開示できる相手がいない場合に、臨床心理士のカウンセリングを受けることも有効です。
■ストレスの対処法について
ストレスの対処法は3つに分類できます。
● 課題解決志向
具体的には…
・ 現実的にできることとできないことを分けて整理してみる
・ 状況改善のためにできる最も簡単なことから着手する
・ 状況をこれ以上悪化させないための注意点を整理する
・ 先輩や上司など頼れる相手にそうだんしてみる
・ 親しい友達に状況や思いについて話してみたり、アドバイスを求める
・ 本を読んでヒントを探す
・ 似たような経験をした人の情報を集めて参考にする
●情動コントロール志向
課題解決志向の方法を試みてみても、うまくいかないことがあります。
また、気分が滅入って課題解決の気力がわかないこともあります。そういったときには、情動コントロール志向のストレス対処法が有効です。
具体的には…
・ 気心の知れた友達と楽しくお喋りする
・ 趣味に没頭する
・ ショッピングや飲食で憂さ晴らしをする
・ スポーツや散歩で気分転換をする
・ 楽しいことを考えていやなことは考えないようにする
・ 考えてもしようがないことは考えずに無心で行動する
・ 何も考えずによく寝る
・ アルコールをのんで忘れる
● 肯定的意味づけ志向
ネガティブな出来事や状況にもポジティブな意味を見出そうとするストレス対処法です。
具体的には…
・ どんなことからも必ず何か得るものがあるはずだと考える
・ この経験を今後にどう生かせるかを考える
・ 自分の器を大きくするチャンスと受け止める
・ これだけイヤなことがあれば、次は良いことがあるだろうと考える
・ 困難にぶつかっているときは自分が鍛えられているときだと考える
これらのことから、自分でできそうなことを上手に組み合わせて、うまくストレスと向き合ってくださいね。
ストレスを上手に乗り越えることができたら、あなたは自分がぐっと成長できたことに気付くはずです。
もし上手にストレスと付き合うことができなくって、なんだか不調を感じることがあれば、箱庭療法・心理カウンセリング東京ではご相談を承っております。気軽にご予約下さい。